インフルエンサーへの支払いと税務【完全ガイド】源泉徴収・インボイス・消費税
源泉・インボイス・消費税
この記事でわかること
- 報酬形態ごとの源泉徴収の要否(早見表)
- インボイス制度と経過措置、消費税の扱い
- 発注から支払調書までの支払いフローと、請求書の書き方
1報酬形態のおさらい
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| 形態 | 内容 | 税務の論点 |
|---|---|---|
| 固定報酬 | 投稿・出演に対する定額 | 源泉・インボイス・消費税 |
| 成果報酬 | クリック・購入等に応じた報酬 | 源泉・インボイス・消費税 |
| ギフティング(物品提供のみ) | 商品提供、金銭報酬なし | 基本的に論点は生じにくい |
2源泉徴収の要否
個人のインフルエンサーへ支払う原稿料・デザイン料・出演料などは、源泉徴収の対象となる場合があります。一方、法人(事務所)への支払いや、純粋な物品提供のみは対象外です。
対象になり得る
個人への原稿料・出演料・デザイン料など、性質が該当する報酬。
対象外の例
法人への業務委託費、物品提供のみ(金銭報酬なし)。
源泉徴収の要否 早見表
個人に支払う報酬のうち、源泉徴収の対象は所得税法204条1項に列挙されたものに限られます。インフルエンサー施策で登場しやすい支払いを整理すると次のとおりです。
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| 支払いの内容(個人への支払い) | 源泉徴収 | 補足 |
|---|---|---|
| 原稿料(記事・コラムの執筆) | 必要 | 原稿料・デザイン料・講演料・写真の報酬などの区分(204条1項1号) |
| デザイン料・写真の報酬 | 必要 | 同上 |
| 講演料(セミナー・イベント登壇) | 必要 | 同上 |
| モデル報酬 | 必要 | モデルの業務に関する報酬(204条1項4号) |
| テレビ・映像・イベント等への出演料 | 必要 | 芸能・放送出演等の報酬(204条1項5号) |
| 広告宣伝のための賞金 | 必要 | 1回の支払額から50万円を控除した残額が対象(204条1項8号) |
| SNS投稿のPR報酬 | 内容次第 | 「SNS投稿」という区分はない。原稿・写真・モデル・出演などの性質を持つかを契約内容から個別に判断 |
| 法人(事務所・会社)への支払い | 原則不要 | 個人への支払いが対象(一部例外あり) |
| 商品提供のみ(金銭報酬なし) | 不要 | 金銭の支払いがないため |
税率は、同一人への1回の支払金額が100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%(復興特別所得税を含む)。出典:国税庁 タックスアンサー No.2792「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」、No.2795「原稿料や講演料などの報酬・料金を支払ったとき」。
3インボイス制度
仕入税額控除には、原則として適格請求書(インボイス)が必要です。インフルエンサーが免税事業者でインボイスを発行できない場合、支払側の控除の扱いに影響します。
- 契約前に適格請求書発行事業者の登録状況を確認する
- 免税事業者との取引は、控除の経過措置や価格の扱いを整理しておく
- 請求書・支払明細の要件(登録番号等)を満たすか確認する
免税事業者からの仕入れにかかる経過措置は、令和8年度の税制改正で見直され、控除できる割合は段階的に縮小します。
免税事業者からの仕入れ:控除できる割合(経過措置)
2026年10月以降の取引から割合が変わる点に注意してください。
出典:国税庁「令和8年4月 消費税法等の一部改正について」(パンフレット)。適用関係の詳細は国税庁の最新情報で確認してください。
4消費税の扱い
原則として課税対象
報酬(役務提供の対価)は原則として消費税の課税対象です。見積・契約で税込/税別を明確にし、インボイスの有無と併せて経理処理を整えます。
論点は生じにくい
物品提供のみで金銭のやり取りがない場合は、消費税の論点は生じにくくなります。
5支払いフロー
個人のインフルエンサーへの業務委託では、フリーランス法(2024年11月施行)により、発注時の取引条件の明示と、給付を受領した日から60日以内の支払期日の設定が求められます(従業員を使用する発注事業者の場合)。社内の支払サイトが長い場合は、契約前に確認しておきます。
報酬額・税込税別・支払期日・源泉の要否・インボイス登録・二次利用を、書面またはメール等で明示する。
投稿・納品物が条件どおりか確認する。成果報酬なら実績を集計。
契約で定めた基準で検収し、検収日を記録する。
登録番号・税率ごとの消費税額など、適格請求書の記載事項を確認する。
源泉徴収が必要な報酬なら、所定の税率で計算して差し引く。
期日までに差引額を支払い、源泉税は原則として支払った月の翌月10日までに納付する。
提出範囲(例:原稿料・講演料等は同一人への年間支払額5万円超、広告宣伝のための賞金は50万円超)に該当すれば、翌年1月31日までに税務署へ提出する。
出典:公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」、国税庁 タックスアンサー No.7431「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」。源泉税の納期の特例(小規模事業者の半年納付)などは個別に確認してください。
6原稿料・PR報酬の請求書の書き方
インフルエンサーに請求書を出してもらう際、仕入税額控除を受けるには適格請求書(インボイス)の記載事項を満たす必要があります。個人のインフルエンサーは請求書の作成に慣れていないことも多いため、発注側から記載事項を伝えておくとスムーズです。
- 発行者の氏名または名称と登録番号(T+13桁)
- 取引年月日(投稿日・納品日など)
- 取引内容(例:「〇〇商品 Instagram投稿 1回」)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
- 請求書を受け取る事業者(発注側)の氏名または名称
源泉徴収がある場合は、上記に加えて報酬額・源泉徴収税額・差引支払額を並べて記載してもらうと、経理処理と照合が明確になります。相手が免税事業者で登録番号がない場合は、通常の請求書を受け取ったうえで、前述の経過措置の扱いを経理で整理します。
出典:国税庁 タックスアンサー No.6625「適格請求書等保存方式の概要」等。記載例・様式は国税庁のインボイス特設サイトを参照してください。
7代行に頼む場合
代行会社を通す場合、多くは代行会社への一括支払いとなり、個々のインフルエンサーへの支払い・源泉徴収・インボイス対応は代行側で処理されます。
発注側は経理負担を大きく減らせます。
?よくある質問
報酬に源泉徴収は必要ですか?
インボイス制度で何が変わりますか?
無償ギフティングでも税務対応は必要ですか?
代行に頼むと支払い・税務は楽になりますか?
SNS投稿のPR報酬は源泉徴収の対象ですか?
報酬はいつまでに支払う必要がありますか?
請求書には何が必要ですか?
※税務の取り扱いは個別事情・制度改正により異なります。本記事は一般的情報であり、具体的処理は税理士・税務署等の確認に基づいてください。