美容・化粧品のインフルエンサーPRと薬機法【完全ガイド】NG・OK表現40例+56効能・ステマ規制
目次
1薬機法とは(制度の基礎)
薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)は、医薬品・医薬部外品・化粧品などの品質と広告を規制します。化粧品は「人の身体を清潔にし、美化し、健やかに保つ」ためのもので、医薬品のような治療・予防・改善の効果を標榜できません。重要なのは、薬機法の広告規制が「何人も」を対象とする点です。つまり、企業だけでなくインフルエンサー個人の投稿も規制の対象になり得ます。
“効く”と言えないからこそ、事実と体験の伝え方が問われる。
2なぜ投稿が「広告」扱いになるか
SNS投稿が広告に該当するかは、一般に次の3要件で判断されます。ギフティングや依頼に基づく投稿は、これらを満たしやすく、広告としての規制を受けます。
①誘引性
顧客を誘引する(購入を促す)意図がある。
②特定性
商品名やブランドが明らかにされている。
③認知性
一般の人が認知できる状態にある。
3化粧品で言える効能効果(56項目)
化粧品で標榜できる効能効果は、薬機法で56項目に定められています。この範囲を超える表現はできません。カテゴリ別の代表例です。
| カテゴリ | 言える効能効果(例) |
|---|---|
| 頭皮・毛髪 | 頭皮・毛髪を清浄にする/すこやかに保つ/うるおいを与える・保つ/毛髪にはり・こしを与える/フケ・カユミを抑える/毛髪をしなやかにする/つやを与える 等 |
| 皮膚・肌 | 肌を整える/キメを整える/皮膚をすこやかに保つ/肌荒れを防ぐ/肌をひきしめる/皮膚にうるおいを与える/乾燥を防ぐ/肌にはり・ツヤを与える/なめらかにする/皮膚を保護する 等 |
| 日やけ・防御 | 日やけを防ぐ/日やけによるシミ・ソバカスを防ぐ(防止の意味) |
| 爪・口唇 | 爪をすこやかに保つ・うるおいを与える/口唇の荒れ・乾燥を防ぐ/うるおいを与える/なめらかにする 等 |
| 芳香・その他 | 芳香を与える |
| 小ジワ(例外的表現) | 乾燥による小ジワを目立たなくする(※効能評価試験を実施した範囲で) |
※上記は56項目の代表例です。正確な文言・全項目は、化粧品の効能効果の範囲に関する通知・適正広告ガイドライン等の公式資料でご確認ください。
4NG↔OK 言い換え40例
「言えない表現」を、範囲内の「言える表現」に置き換える対比です。テーマ別にまとめます(あくまで一般的な考え方の例で、商品分類・承認内容により異なります)。
美白・シミ・そばかす
| NGになり得る | 言い換え(範囲内の例) |
|---|---|
| シミが消える/シミが薄くなる | 日やけによるシミ・そばかすを防ぐ(防止) |
| 美白効果でトーンアップ(断定) | メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ(医薬部外品の承認範囲) |
| くすみが取れて透明感が出る(断定) | うるおいを与え、肌を整える/メイクで明るい印象に |
| 肌が生まれ変わる/ターンオーバー正常化 | 肌をすこやかに保つ/キメを整える |
シワ・エイジング
| NGになり得る | 言い換え(範囲内の例) |
|---|---|
| シワが消える/シワが治る | 乾燥による小ジワを目立たなくする(効能評価試験済みの範囲) |
| アンチエイジング/若返る | 年齢に応じたお手入れ/ハリのある印象へ(使用感) |
| たるみが引き上がる/リフトアップ(断定) | 肌をひきしめる/うるおいでハリのある感触に |
| 細胞から再生・活性化 | 皮膚にうるおいを与え、すこやかに保つ |
保湿・毛穴・ハリ
| NGになり得る | 言い換え(範囲内の例) |
|---|---|
| 毛穴が消える/毛穴が引き締まって無くなる | 肌をひきしめる/キメを整える/メイクで目立たなくする |
| 一日中うるおいが続く(断定・長時間保証) | 皮膚にうるおいを与える/乾燥を防ぐ |
| ハリ・弾力を取り戻す(回復の断定) | うるおいを与え、ハリのある感触に整える |
| 肌の水分量が○○%アップ(根拠なき数値) | 効能評価試験の結果に基づく範囲で表現(要根拠) |
ニキビ・肌荒れ
| NGになり得る | 言い換え(範囲内の例) |
|---|---|
| ニキビが治る/アトピーに効く | (洗顔料)洗浄によりニキビ・あせもを防ぐ/肌を清潔に保つ |
| 赤みが引く/炎症を抑える | 肌荒れを防ぐ(医薬部外品の承認範囲)/肌を整える |
| 敏感肌が改善する | 皮膚をすこやかに保つ/うるおいを与える |
断定・最上級・安全性・権威・恐怖訴求
| NGになり得る | 言い換え・考え方 |
|---|---|
| 最高峰/No.1/日本一(根拠なし) | 客観的な調査に基づく事実のみ(出典・条件を明示) |
| 絶対・必ず・100%・完全 | 断定を避ける(「〜と感じました」等の主観に留める) |
| 副作用ゼロ/誰にでも安全 | 安全性の断定を避ける(使用上の注意を明記) |
| 医師も推奨/皮膚科医が認めた(不当な権威付け) | 監修の事実がある場合のみ、事実の範囲で表現 |
| 使わないと老ける/手遅れになる(恐怖訴求) | 不安を煽らず、日々のお手入れの提案として表現 |
| これ一本で全部解決 | 用途・使用方法を具体的に、誇大でない範囲で |
5医薬部外品・サプリのルール
医薬部外品
承認された効能効果(美白・肌荒れ防止 等)の範囲でのみ標榜できる。化粧品より広いが、承認外の表現はNG。
健康食品・サプリ
食品であり、医薬品的な効能(治る・改善する)は言えない。機能性表示食品・特定保健用食品は、届出・許可の範囲でのみ機能を表示できる。
6ステマ規制と媒体別PR表記
2023年10月1日施行のステルスマーケティング規制(景品表示法の指定告示)により、事業者の広告であるのに第三者の自主的な表示に見せることが不当表示となり得ます。依頼・提供に基づく投稿は、広告であることを明瞭に示す必要があります。
| 媒体 | 推奨される表示 |
|---|---|
| タイアップ投稿ラベル+本文冒頭に「#PR」等(ファーストビュー) | |
| YouTube | 「有料プロモーションを含む」設定+動画冒頭・概要欄で明示 |
| TikTok | ブランドコンテンツ(情報開示)設定+冒頭で明示 |
| X(旧Twitter) | 冒頭に「PR」「#PR」(大量タグに埋もれさせない) |
7罰則と実際の事例
| 法律 | 主な措置 |
|---|---|
| 景品表示法 | 措置命令/課徴金(対象商品の売上額の一定割合) |
| 薬機法 | 行政指導/課徴金/罰則(虚偽・誇大広告) |
健康食品の広告表現をめぐっては、過去に広告関係者が薬機法違反で逮捕された事例もあります。「投稿しただけ」では済まないという認識が必要です。※最新の運用・数値は消費者庁・厚生労働省の公式情報でご確認ください。
8実務で多いNG表現(当社知見)
当社が実施施策で投稿原稿をレビューする中で、差し戻しが多い表現には傾向があります。とくに美容・エイジング商材で頻出するのは次のパターンです(一般化した知見)。
- 効果の断定:「消えた」「治った」「〜が改善」。体験談の形でも同様。
- ビフォーアフターの過度な演出:光・角度・加工で効果を暗示。
- 時間・数値の保証:「一日中」「1週間で」「水分○%アップ」。
- 恐怖訴求:「使わないと老ける」。オトナ世代向けで出やすいグレー表現。
930〜50代向けの言い換え
オトナ世代向けは、エイジング・シミ・シワ・ハリ・乾燥といった悩み訴求が中心になり、その分だけ医薬品的表現に踏み込みやすいのが実情です。悩みに寄り添いつつ範囲内で伝えるのがコツです。
| 言いたいこと | 範囲内の伝え方 |
|---|---|
| 年齢肌の悩みに効く | 年齢に応じたお手入れとして、うるおいでハリのある印象へ |
| ほうれい線・たるみが改善 | 肌をひきしめ、うるおいでふっくらとした感触に |
| シミが薄くなった | (医薬部外品)メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ |
10薬機法×ステマ 統合チェックリスト
- 効能効果が化粧品56項目(または承認)の範囲内か
- 「治る・消える・改善」等の医薬品的表現がないか
- 最上級・No.1・断定に合理的根拠があるか
- ビフォーアフター・体験談が誤認を招かないか
- #PR等の広告明示が冒頭(分かる位置)にあるか
- 各SNSのタイアップ表示機能を併用しているか
- 投稿前の原稿チェック体制と是正フローがあるか
- 起用者の選定で資格・立場による表現リスクを確認したか
11代行を使う意味
ステマ規制の措置命令等の主体は、基本的に依頼した事業者(広告主)です。だからこそ、表現ガイドライン整備・投稿前チェック・是正体制を持つ代行に任せることは、工数削減以上に法令リスクの管理そのものになります。当社では全投稿で広告表示を徹底し、薬機法・景表法に配慮したガイドライン下で進行します。関連:ギフティング代行とは/費用相場。
?よくある質問
インフルエンサー個人も薬機法で罰せられますか?
「個人の感想です」と書けば大丈夫ですか?
化粧品で言える効能効果は決まっていますか?
ステマ規制でPR表記はどこに書けばいいですか?
ギフティングでもPR表記は必要ですか?
ビフォーアフター写真は使えますか?
違反するとどうなりますか?
2023年10月より前の投稿も規制対象ですか?
※本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。薬機法・景品表示法・関連ガイドラインは改正・運用変更があり、個別の表現可否は商品分類(化粧品/医薬部外品/食品)・承認内容により異なります。化粧品の効能効果56項目の正確な文言、罰則の詳細、ステマ規制の運用は、消費者庁・厚生労働省等の最新の公式情報や専門家(弁護士・薬事担当)に必ずご確認ください。